精神科医を辞めたいと思う理由

長く精神科医としてお勤めの先生方の中には、精神科医が持つ独特の疲労が重なり、ふと「精神科医を辞めて他科に転じたい」と考える方もいるようです。

決して他科のほうが楽とは言えませんが、精神科医特有の疲労は、十分に他科への転職を検討する原因になることでしょう。

ここでは、精神科医を辞めたいと思う主な理由を考察してみました。

精神科医を辞めたいと思う理由

ライフワークバランスが取りにくい

総合病院で働く精神科医の多くは、時間外勤務は当然のこと、当直勤務も多々入るなどし、仕事以外のことを行う時間はほとんどありません。

精神科医としての仕事にはやりがいを感じ、誇りを持っていたとしても、自分のプライベートの全てを削ってまで仕事をしていることに、疑問を持ち始める医師もいるようです。

考えてみれば、まるで患者のために自分の人生すべてを捨ててしまったような毎日。医師としての仕事を続けながらもこの状況を打開するためには、他科へ転じることを検討する精神科医もいることでしょう。

給与と業務内容が割に合わない

他科も同じですが、精神科も非常に高い専門性を必要とする診療科です。また、他科と同様に多忙を極める診療科でもあります。

その一方で、たまたま何らかの縁で小さなクリニックや待遇の良くないクリニックに入職してしまったがために、長年、業務内容と給与のバランスが取れていない精神科医もいるようです。

大学時代に共に学んだ医師たちと交流することがあると、自分の待遇の悪さに愕然とする精神科医もいると聞きます。

業務内容と給与のバランスが合った仕事をしたいならば、別の勤務先へと転職するしか方法はないでしょう。

患者とのトラブルに参ってしまう

精神障害を持つ患者やその家族と接していると、患者や家族が医師に対して激しく怒ることがあります。医師は患者の症状を少しでも緩和させたいと一生懸命診療しているのですが、症状の緩和を自覚できなければ、そのストレスや精神障害を背景に医師を逆恨みする事態へ発展することもあります。

そのようなことは、精神科医にとって日常茶飯事かもしれませんが、たびたび同様のことが起こってしまうと、医師とはいえ精神的に参ってしまうこともあるでしょう。転職を考えたくなる瞬間です。

患者の自殺や訴訟

いかに一生懸命診療をしていた患者であっても、うつ病を多く診療する精神科である以上、中には症状を悪化させ、自殺未遂や自殺に至る例に遭遇することもあり得ます。

また、思ったような効果を得られなかったことを「医師が適切な処置をしなかったからだ」と思い込み、患者本人やその家族が医師を訴える例もあります。

これらのように、自分の気持ちと患者の気持ちに大きな齟齬を感じる例が多くなると、精神科医を辞めたいと思うことがあります。

精神科医を辞めたい場合、転職という選択肢もある

「精神科医を辞めたい」と思うきっかけは、医師それぞれにさまざまな理由があります。しかしながら、どのような理由があるにせよ、シンプルに職場環境を変えることが大きな解決につながることもあります。

先生自身が考える理想の職場とは、どのようなものでしょうか？

いま、そのような職場で働いているのでしょうか？

今先生が感じておられる悩みは、自分が理想とする職場へ転職することで、その多くが解決するかもしれません。

今後ますます社会的ニーズが増えていく精神科だからこそ、社会のためにも先生は精神科医であり続けるべきです。

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