医師が転職する主な理由

いかに特殊技能を持つ医師とは言え、いかに社会的役割の大きい医師とは言え、仕事や職場での不満やストレスがたまれば、他の業種の方々と同様に転職を考えても不思議ではありません。

ここでは、医師が転職を考える主な理由、転職を検討したほうが良い医師のタイプについてご紹介します。

医師の転職理由で多いものは？

長時間労働や緊急手術などによる過労

恐らく、今この記事をお読みの先生方の大半は、長時間労働や緊急手術などの過労を蓄積させていることでしょう。過労が慢性化し、すでに過労を過労と自覚することすらなくなったかもしれません。

令和元年に厚生労働省から公表された資料（※）によると、医師全体の約40%は月80時間以上の残業をこなしているとされています。月80時間の残業は、一般企業であっても過労死の危険水域となるレベル。まして緊張とストレスとイレギュラーが同時に押し寄せる医師において、月80時間という残業時間は尋常ではありません。

望んでいる給与が得られない

医師の平均年収は、一般民間人に比べると大幅に高いことがよく知られています。一方で、仕事の専門性の高さや激務、ストレスなどに対し、かならずしも給与が割に合っているとは言えません。

また、同じ医師であっても勤務先の違いにより、年収が数百万円近く異なることもあります。こちらもまた、割に合わない理由になるでしょう。

仕事に見合った給与を得られない場合、医師であろうが何の仕事であろうが、転職を考える大きなきっかけになることは当然です。

職場の人間関係の悩み

医局所属の医師の場合、上司との上下関係は厳格です。医局の指示に従うことは自分の効率的なキャリアパス形成に有効ですが、そのような上下関係を窮屈に感じる医師もいることでしょう。

また、他の医師や他の医療従事者、病院理事長などとの人間関係に参っている医師も少なくないのではないでしょうか。

職場での人間関係がストレスとなり、転職を考える医師は大勢います。

スキルアップ・専門性を高めたい

所属医師のスキルアップや専門性の深掘りを積極的にサポートしてくれる病院もある一方で、経営や運営のほうに熱心な病院も少なからずあります。

急がば回れと言う通り、長きにわたって病院を発展させていくためには、前者のような病院であることが望ましいことは当然です。医師としても、自分のスキルアップをサポートしてくれる病院のほうが、働き甲斐・やりがいを感じられることでしょう。後者のような病院に勤務する医師が、転職を検討する典型的な例の一つです。

結婚・育児などの家庭事情のため

結婚や妊娠・育児などの家庭事情が理由で転職する医師もいます。特に女性医師に多い傾向があります。

近年では、医療従事者の働き方改革を背景に、敷地内へ託児所や保育所などを併設している病院も増えてきました。そのような病院であれば、家庭と仕事を両立できる可能性があるでしょう。

医師の仕事を辞めるのではなく、家庭と両立できる病院への転職を考える女性医師が増えています。

転居のため

職場そのものには大きな不満がないものの、転居を理由に転職を考える医師もいます。

転居の理由はさまざまですが、主な理由の一つが「自分の生まれ故郷で診療したい」というもの。医学部受験は全国区なので、まったく縁もゆかりもない土地の医学部に入学し、そのままその地で医業に携わっている医師も少なくありません。そのような医師の中には、結婚などを機に生まれ故郷の病院への転職を考えたり、生まれ故郷での開業を考えたりする方もいます。

逆に、生まれ故郷よりも給与が高いという理由で、都市部への転居を考える医師もいるようです。

転科してキャリアチェンジを図りたい

医師の中には、転科してキャリアチェンジを図るために転職する例も見られます。たとえば、形成外科医や皮膚科医から美容外科医・美容皮膚科医に転じる例などです。

この例の場合、仮に自分が勤務する病院に美容外科・美容皮膚科がなければ、転職して技術を磨くしかありません。仮に自分が勤務する病院に美容外科・美容皮膚科があったとしても、同じ院内で転科して働き続けることに躊躇する医師もいるのではないでしょうか。他科も含め、転科するならば、基本的に勤務先を変えることが前提となるでしょう。

セカンドキャリアを築くため

医師の仕事は、頭脳労働と肉体労働を併せ持つ激務です。高齢になればなるほど、体力的に持たなくなっていくことは当然でしょう。

一方で医師という資格は一生ものです。体力的に持たなくなれば、非常勤医師として別の病院に転職するなど、セカンドキャリアを形成することも可能です。

中には、将来の体力的な問題へ早めに対処しておくため、比較的若いうちから、高齢でも働けるとされる精神科医へ転科してセカンドキャリアを形成する方もいます。

勤務先の閉院のため

高齢化の急速な進行により、医療業界は慢性的な人手不足です。潤沢な資金がある病院であれば、優秀な医師を多く採用できるかもしれませんが、そのような病院でなければ、医師不足によって経営が成り立たなくなり閉院に至る可能性もあります。

自分が勤務する病院が倒産すれば、転職せざるを得ません。

現在の職場から転職した方がいい人の特徴

次の2つの状況を自覚している医師は、転職や転科を検討してみたほうが良いでしょう。

過労やストレスにより心身に問題が生じしている

過労・ストレス・人間関係の悩みにより、心身に問題が生じはじめている医師は、早めに転職・転科を検討してみてください。

自分の心身を壊してまで現在の働き方を続けることは、先生自身にとっても、現在の患者にとっても、将来の患者にとっても良いことではありません。医師であればこそ、それをよく理解できるのではないでしょうか。

勤め続けても自身のキャリアプランを実現できない職場にいる

長く勤務し続けているにもかかわらず、自分の思い描くキャリアプランとは乖離した業務にしか携われない場合、やがて医師としてのやりがいを失っていく恐れがあります。そのような自覚のある先生は、早めに転職・転科を検討してみたほうが良いでしょう。

もとより、長く勤めているにもかかわらず、希望の給与を得られないと感じている先生も、転職を検討してみるようおすすめします。

転職した医師は医師向け転職エージェントの利用がおすすめ

医師が転職を考える主な理由、早急に転職を考えたほうが良い医師のタイプについてご紹介しました。

医師は診療のプロですが、転職のプロではありません。もし転職を考えるならば、医師の転職に特化したエージェントの力を借りることが近道です。

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