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精神科医の転職成功を叶える基礎知識
医師の転職の中でも、精神保健指定医の存在やその勤務形態などから、「ならでは」の条件が発生しやすい精神科医。自分が望む将来像を実現させるためにも、転職を始める前に知っておくべき知識があります。
ここでは、これから転職活動を始める精神科医のために、転職エージェントの選び方や、どういった医師が病院から求められるのか、具体的にどういった活動をすればよいのかなど解説していきます。
精神科医のための転職エージェント・サービスの選び方
多忙を極める精神科医の転職活動において、転職エージェントの利用は必須です。求人サイトで得られる情報だけでは、精神科医の今後のキャリア形成にも影響する判断をするには不十分だからです。
転職サイトと転職エージェントは人材紹介サービスであることは共通していますが、両者の違いと、エージェントを利用するメリットをここでは説明していきます。
精神科医のための転職エージェント・サービスの選び方を詳しく読む
転職エージェントとの面談
精神科医として転職を考えるにあたり、エージェントを利用して転職活動をする人も多くいらっしゃるかと思われます。転職エージェントと面談をする際にはいろいろなポイントがあるので、有意義な転職活動をするためにも、面談の流れやどのような心構えで臨むべきかなど、前もって整理して臨むようにしましょう。
病院から求められる精神科医とは
精神科医が転職活動をするにあたって、どんな精神科医が病院から求められているかを知る必要があります。
精神保健指定医や日本精神神経学会専門医といった資格から、医師本人の素質の部分まで、求人する側である医療機関の評価の高い精神科医について、ここでは解説します。
精神科医の転職の流れとチェックポイント
精神科医が転職活動をする場合、理想の開始時期やタイミングが存在します。また、転職活動をするにあたってのチェックポイントを知っておくことが、転職成功への近道になります。
ここでは、転職活動の流れ、方法、チェックポイントを説明していきます。
精神科医の年収や転職に伴う年収の変化
精神科医は患者さんの心の病気を治すという特殊な仕事ではありますが、一方で外科医のような手術を行うわけではないことから、同じ医師でもその年収には差があるようです。
精神科医は他の医師と比べて実際にどの程度の年収を得ているのか、さらに最も多くの年収を得ている年代、働く地域によってどのくらいの差が生じるのか、働く環境や働き方によってどのように変化するのかなど、精神科医の年収事情を詳しくまとめています。
勤務場所によって異なる精神科医の業務
精神科医は、勤務する場所によって業務や勤務形態が異なります。どんな働き方でどんな患者さんの診療をおこないたいか、ワークバランスも考慮したうえで転職先を検討すると良いでしょう。ここでは、勤務場所別に業務内容などについて紹介します。
総合病院
精神科病棟を有する総合病院で精神科医として働く場合、外来患者の診察や入院患者の診察をおこないます。
こちらも病床があるため入院が必要な重症患者を診ることが主であり、心理療法や薬物療法などが中心です。
総合病院には複数科があるため、リエゾンを行なったり、例えば他の診療科から認知症や睡眠障害等々、精神疾患のある患者のコンサルを依頼されることも。
中でも救急や急性期を扱っている病院では当直や時間外勤務などが発生する可能性が高いため、他の勤務場所と比べて多忙であるといえるでしょう。
また、精神科病棟の無い総合病院であれば、専門外来やリエゾン、他科へのコンサル、緩和ケアなどといった業務が考えられます。 当直に関しては、一般病棟を精神科医師が診る事は難しい為、免除されるケースがほとんどです。
なお、総合病院であっても「精神保健指定医」の資格をもつ精神科医が求められることも多いため、精神保健指定医の資格を取得しておくと有利です。
精神単科病院
精神科病棟がメインの単科病院で働く場合、外来患者の診察や病棟管理が主軸の業務です。
病床があるため入院が必要な重症患者を診ることが多く、心理療法や薬物療法などが中心です。
近年では地域のニーズから訪問診療を取り入れている病院もあり、週1コマ~2コマは上記の外来、病棟業務にプラスして訪問診療(精神分野のみ)の業務を行うケースも出てきています。
また病院によっては認知症や依存症、児童思春期などその症例に特化した症例特化型の病院もあり、独自のプログラムや治療方針が確立されているケースもあります。 このような病院では比較的指定医を持っているベテラン医師で構成されているケースがほとんどです。
診療所やメンタルクリニック
診療所やメンタルクリニックで勤務する場合、外来診療が中心です。診察をした上で患者それぞれに適した薬物療法や認知行動療法などをおこないます。
なお、診療所やクリニックには基本的に病床がないところがほとんどのため、当直はありません。
但し、外来がクリニックの収益源ですので、外来患者の数を求められたりするケースがあります。このあたりはクリニックの規模を考えると当たり前といえるかもしれません。
また、訪問診療をメインとする診療所やクリニックもあり、訪問先は施設や居宅となります。
訪問診療といっても内科分野は内科医師との線引きがされている事がある為、精神科分野がメインの訪問診療となります。
精神保健福祉センターなどの公的な機関
全都道府県にある精神保健福祉センターなどの公的機関で勤務する方法もあります。精神保健福祉センターでは厚生労働省の運営要領をもとにアウトリーチ支援や精神科デイケアなどをおこないます。クリニックや病院などで勤務する場合とは業務内容が大きく異なり、地域の精神科医として保健師や看護師などと協力して医療福祉活動をおこないます。
時間外勤務が少なく土日や祝日は休めるメリットがあるものの、低めの収入になってしまう可能性もあります。
企業の産業医
企業の産業医は、労働者を専門に健康診断をおこなったり、ストレスチェックや衛生委員会への参加、最低月1回の職場巡視などの業務をおこないます。
なお、産業医には「嘱託産業医」と「専属産業医」があり、ほとんどの産業医は嘱託産業医として非常勤で働きます。一方専属産業医は従業員が1,000人以上の大企業などで常勤医として事業場に勤務します。
産業医になるためには医師免許のほか厚生労働省の定める労働安全衛生規則第14条第2項の要件を備える必要があります。資格を得るためには日本医師会や産業医科大学の研修を受けなければなりません。
精神科医の勤務形態
常勤医と非常勤医の違い
まず、医療機関に正職員として雇用された場合には、常勤医として扱われます。
また、厚生労働省医政局が発行した「医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査要綱」では、同じ勤務先で週32時間以上の勤務をおこなう医師を常勤医としています。ただしこれはあくまでも病院の必要医師数を算出するための指針であり、そもそも常勤医と非常勤医を区別するための統一された規定があるわけではありません。
そのため医療機関によってどの勤務形態を常勤・非常勤と区別するのかは異なるのです。
なお、常勤医と非常勤医では求められるスキルや勤務する医療機関との関係性も異なることがあります。
常勤医が勤務先の医療機関と長時間かかわるのに対し、非常勤医は勤務時間が短いためビジネスライクな付き合い方が多いようです。また、非常勤医の募集では即戦力となる人材が求められる傾向にあり、特別なトレーニングを必要としない経験豊富な医師が必要とされています。そのため経験年数が少ない医師が非常勤医として採用されるケースはあまり多くないようです。
定期非常勤とスポット勤務
非常勤医のなかには「定期非常勤」と「スポット勤務」という働き方があります。
定期非常勤は一定期間定期的に働くことをさし、“毎週〇曜日の診療担当”のような働き方をします。一方スポット勤務は特定の日だけ単発で働き、単発アルバイトと呼ばれることもあります。
定期非常勤には非常勤医のなかでも安定した収入を得やすいメリットがあり、スポット勤務には気軽に勤務しやすいことや、急募の場合好条件での採用がおこなわれるメリットもあります。
訪問診療
精神科の訪問診療は、精神科医が患者の自宅を訪問し診療を行うサービスです。往診とは異なり、継続的な医療支援を重視します。特に通院が困難な高齢者や障害者に有効で、個別化された治療計画を提供。訪問診療のサービスには定期的な健康管理と患者や家族への支援も含まれており、患者の心理的負担を軽減するのに役立ちます。
精神科医の働き方による収入変動は?
収入の安定性としてはやはり常勤医がおすすめです。
定期非常勤やスポット勤務の掛け持ち勤務だけでは、1勤務あたりの単価は常勤医よりもやや割高ですが、社会保険の加入が難しかったり、急な契約切りで思わぬ収入ダウンに繋がる事があります。
収入アップを目的とする基本的な勤務スタイルは、「常勤先+週1日の非常勤」というスタイルです。
他分野の医師と比べた仕事への満足度は?
独立行政法人 労働対策研究・研修機構が2012年9月に発表したデータによると、精神科医の勤務先の仕事の質や内容に対する満足度では、精神科医のおよそ6割が満足している・まあ満足と回答しました。診療科のなかでも満足度の高い麻酔科や産科・婦人科に比べると満足度は低いものの、精神科の満足度が特別に低いという結果にはなっていません。
また、患者からの訴訟リスクに対する意識では、訴訟リスクを非常に感じる・まあ感じると答えた精神科医は3割程度にとどまっており、他の診療科と比べて訴訟リスクが高いとは考えていないようです。
そのため、精神科は働きにくい・やりがいがないといった不満を抱いている精神科医は少数派であり、半数以上の精神科医が働き方や仕事内容に満足しているといえるでしょう。
優秀な転職エージェントと出会い、最大限に活用するためには、各社の得意な傾向を見極め、転職活動における各段階で、適切に相談する必要があります。
独自の知識が必要とされる精神科医の転職では、まず専門性の高い転職エージェントへ相談し、自分の目的や経歴を明確化。その条件に合った病院の求人を紹介してもらうのが得策です。
それと並行して、医療従事者からの支持を集める、言い換えれば利便性が高いエージェントを活用。それでも決まらないようならば、最終手段として、求人数の多いその他大手転職エージェントへ登録をするという手順を推奨します。
まず、専門性の高いエージェントに相談する
「精神科医の転職相談室」
転職エージェント ※1

(https://doctor-seishinka.com/)
精神科医の転職を専門的に扱うため、精神科医が求める転職の条件、病院側が求める医師像の両方を熟知した上での求人紹介が可能。魅力的な職務経歴の記載方法、面接対策などのレクチャーも受けられる。
次に、利便性の高いエージェントに相談する
「M3.com CAREER」
8年連続1位 ※3

(https://career.m3.com/)
会員数29万人を超える日本最大級の医療従事者向けポータルサイト「m3.com」を運営するエムスリーグループの転職エージェント。多くの医師が使用していることで、その利便性の高さが伺える。
最終手段は、求人情報の多いエージェントへ
「民間医局」
求人を掲載 ※5

(https://www.medical-principle.co.jp/)
1997年創業の老舗転職エージェント。臨床研修指定病院から個人開業のクリニックまで、幅広い求人を掲載している。全国各地に拠点を設けることで、エリアに特化した情報も提供している。
※1:2021年1月時点、編集部調べ
※2:2021年3月ゼネラルリサーチによって行われた、全国の20代~60代の医師に約1,000名を対象としたアンケート結果(https://doctor-seishinka.com/)
※3:2020年2月時点の情報、「M3.com CAREER」公式HPより抜粋(https://agent.m3.com/lp/parttime/adv_reason2/entry)
※4:2021年1月時点の情報、「M3.com CAREER」公式HPより抜粋(https://career.m3.com/admin/service)
※5:2020年11月16日時点の独自調査での情報、当サイト掲載のエージェントおよび求人サイトで精神科医の求人方法を最も多く掲載
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